静的知識、動的知識、身的技能

知的生産で成果を出すには、静的知識、動的知識、身的技能の3つが必要です。

[1] 静的知識
いわゆる「知識」のことです。時間の概念のない、粒のような情報です。
「あのボタンを押すとこういうことが起きる」とか「あのような構文がある」とか、そういう情報です。
静的知識が不足していると、そもそも何をして良いのかさっぱり分かりません。

[2] 動的知識
いわゆる「構想力」です。仕事をやりきるための一連の手順。
粒ではなく時間軸に引きのばされた麺のような形をしていて、時間の経過の概念を伴っています。
「まずこれをやって、次にこれをやって、最後にあれとこれをこう組み合わせる」とか、そういう感じのもの。
動的知識が不足していると、何からどう手をつけていけば良いのかさっぱり分かりません。

[3] 身的技能
いわゆる「運動能力」です。身体を思いどおりに器用に動かせれば、早く正確に簡潔に仕事は終わります。
タイピングで打ち間違えしない、操作ミスがあってもすぐに気づくことができる。ショートカットを自在に使いこなせるといったスキルです。
身的技能が不足していると、ぜっかく構想が湧いても実現できません。


エクセルVBAを例にして説明します。
たとえば以下のような複数シートからデータを集めてくるコードを書くとします。
Sub yukyu_sample_wsws()
    Dim rorNum As Long
    Dim ws As Worksheet
    Dim wsTo As Worksheet
    
    Set wsTo = Worksheets("集計")
    rorNum = 2

    For Each ws In Worksheets
        With ws
            If .Name <> "集計" Then
                wsTo.Range("A" & rorNum).Value = .Name
                wsTo.Range("B" & rorNum).Value = .Range("E2").Value
                wsTo.Range("C" & rorNum).Value = .Range("F2").Value
                wsTo.Range("D" & rorNum).Value = .Range("G2").Value
                wsTo.Range("E" & rorNum).Value = .Range("H2").Value
                rorNum = rorNum + 1
            End If
        End With
    Next
End Sub

[1] 静的知識
・開発環境 Visaul Basic Editorの使い方についての知識
・セルの値の取得/設定方法についての知識
・With ステートメントについての文法知識
・For Each構文についての文法知識
・長整数型変数についての知識
・オブジェクト型変数についての知識
・For Each構文内で「インクリメント」を行うコードを行う行をどこにするべきかといった知識(*1)

(*1) これは「動的知識」に近いかもしれません。


[2] 動的知識
・どこから書きはじめて、どうマクロを組み立てていくのか(*2)
・どのタイミングでどういうテストを行うか
・最終的な品質検査をどのように行うかといった一連のプロセスについての知識

(*2) 「動的知識」のない初心者は、完成形を見て1行目から丸写していきます。それでは完成は至難の業です。


[3] 身的技能
・正確にタイピングできる
・ショートカットを駆使して効率的にPC操作できる
・エクセル/Visual Basic Editorの画面を切り替えるといった基本操作でハマらない(*3)

(*3) たとえば、「エクセル画面に戻るときにセルをダブルクリックしてしまってハマる」というのは十分な経験がない方が陥りやすい操作ミスのポイントです


「静的知識」、「動的知識」、「身的技能」の3つの要素のうち、「静的知識」は初心者にも分かりやすいですが、それだけでは何もできません。
「ノウハウ」という言葉もありますが、「ノウ」という言葉は「静的知識」と「動的知識」を含み、「ハウ」という言葉は「動的知識」、「身的技能」を含んでいると捉えると分かりやすいかと思います。


なお、PCスキルにおいて特に軽視されがちなのは、「身的技能」です。

PCのスキルは、「歩く」、「つかむ」といった幼児期に本能的な活動をしていれば得られるものではなく、後天的に、トレーニングによって得られるものです。

また、実際、正しいトレーニングを積んだ人とそうでない人とでいちばん差がつくのはこの部分です。
「タイピングが早くて正確で、ショートカットを駆使して作業効率を最大化できる人」と「タイピングすらおぼつかない人」とでは、そこだけで生産性に10倍近く開きがあるといっても過言ではありません。
文字入力スピードで3倍、PC操作で5倍程度の差がつくので、実際にはそれ以上です。

僕が「エクセルマクロのような名のついたスキルより前にタイピングとショートカットをしっかりやりましょう」と常々言っているのは、上記の理由からです。
10倍の生産性の違いがあるということは、ある人が100分かかってようやく習得できる技術を、別のある人は10分で習得できるということです。「先に学習能力を高めてから学習する」というのが最適化された習得の手順です。
  • あなたならば今回のこの記事の内容をどのように要約しますか。

    以下の記事は、要約ではありませんが、ほぼ同じ内容をイラストつきで別の説明の方法で説明したものです。
    こちらも読んでみてください。
    https://forum.pc5bai.com/article/tripod/
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エクセルマクロを学びたい方は、まずはここから。
https://forum.pc5bai.com/lesson/course/10/

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