ITの世界での「アイデンティティ」、リアルでの「アイデンティティ」

前回、『記号の力:私たちが無意識に受け入れる「アイデンティティの象徴」』ということで、以下のようなことについて書きました。

・人はどのようにしてアイデンティティを感じるのか
・アイデンティティと、所属する集団との関係

たとえば、日本人は、「サッカー日本代表」という集団を見かけると、「彼らは自分たちの仲間だ」という意識が働きます。
このとき、「自分は、『日本人』という集団の一員だ」という集団への帰属意識が同時に生じます。

記号の力:私たちが無意識に受け入れる「アイデンティティの象徴」
https://forum.pc5bai.com/tips/longshot/cf9e2ef4-3ee7-4203-a914-64b2281a91a9/


今日は、「アイデンティティ」という言葉が指すものについて軽く触れたいと思います。

ITの世界での「アイデンティティ」、リアルでの「アイデンティティ」は、意味合いが異なります。

ITの世界では、「アイデンティティ」というと、多量のデータの中からひとつのアイテムを取り出すためのキーのことを指します。

「DPR」という話をよくします。
D: Database となるような表をエクセルで作るとき、「必ず、いちばん左の列は ID として、 1, 2, 3. ,,, と番号を振りましょう」と、僕はお伝えしています。

なぜかというと、データが100行, 1000行, 10000行と増えていったとき、IDを割り振っておいたほうが、検索がしやすいからです。

遠隔地にいる2人が同じデータを見ながら話をしているところを想像すると分かりやすいです。

「ID 35 のデータのことなんだけどさ」ということであれば、すぐに話が通じます。
一方、「日付が2024年1月10日で、取引先がアマゾンで、分類が電子機器で、『ノートパソコン』の5番目のヤツのことなんだけどさ...」なんていう説明だと、電話の向こうの相手がそのデータを見つけるのが大変ですね。

ITの世界での「ID」というのは、こういう検索を容易にするためにあると思っておいていただいてだいたい間違いではないです。
IT用語で、「Identifier (識別子)」という言葉があります。多量のデータの中からひとつのアイテムを識別して取り出す(取り出す)取り出すためのキーという意味です。


一方、リアルの世界での「アイデンティティ」は、これより広い意味になります。

冒頭に、「サッカー日本代表という集団を見かけると、『彼らは自分たちの仲間だ』という意識が働く」という例を紹介しました。

このとき、「自分は日本人である」という帰属意識を持ちますが、これのこともアイデンティティと言います。
「日本人としてのアイデンティティ」と言ったりしますね。

と同時に、「私はほかの誰でもなく私である」という、自己認識のこともアイデンティティと言います。

・私は○○という集団の一員である
・私はほかの誰でもなく私である

リアルの世界で、「アイデンティティ」という言葉は、上記両方のニュアンスを持ちます。
IT用語としてのID、つまり「アイデンティティ」とは、後者のことです。前者は、「タグ」や「ラベル」として実装されます。

こうして見てみると、リアルの世界での「アイデンティティ」という言葉の機能は実に曖昧です。
「私はほかの誰でもなく私である」というときは、他者との境界を引いて自己認識を強めます。
一方、「私は○○という集団の一員である」というときは、他者との境界をとりはらって自己認識を曖昧にします。

そして、そのぼやかして曖昧にした部分に、前回も書いた「所属意識を前提とした自己、私らしさ」のようなものが隠れています。
  • 「帰属意識」としてあなたが感じているアイデンティティをひとつ取り上げてみてください。
    また、「私はほかの誰でもなく私である」とあなたが感じるときは、どういうときですか。
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