世界を3つに分類する-ゲシュタルト療法の 「外部領域」、「内部領域」、「中間領域」

ここ数回のメルマガで「モデル」という言葉について扱っています。

IT用語としての「機械学習モデル」、より物質な「プラモデル」や「ファッションモデル」、より内面的な「メンタルモデル」等の実例を参照しつつ、その概念について紹介してきました。


「メンタルモデル」とは、人の持つ「ざっくりとした世界観」です。


今回、この「メンタルモデル」の中から特に有効で理解しやすいものを紹介します。
ゲシュタルト療法の、「外部領域」、「内部領域」、「中間領域」という世界の分類方法です。
シンプルかつ実践的で、多くの人々に受け入れられているメンタルモデルです。


ゲシュタルト療法では、世界を以下のように分類します。

・外部領域:
自分の身体の外側の世界です。実在します。

・内部領域:
自分の身体の内側の世界です。実在します。

・中間領域:
思考領域です。あなたの意識の中に存在するものです。


人は、これらの領域での「気づき」や「選択」を日常的に、多くの場合無意識に行っています。その中には、自分で制御できないものも多く含まれています。


たとえば、あなたが、「職場にいくと、夕方にはいつも心底ぐったりしてしまう」という悩みを持っているとします。
そんなあなたは、ある日の午後、自分のデスクで仕事をしている最中、上司に自分の名前を呼ばれ、そして、緊張した面持ちでその上司の前に行くとします。

そのとき、こんなことが起きています。

1.
あなたは、上司があなたの名前を呼ぶのを耳にしました(外部領域)。

2.
その瞬間、過去の経験や先入観を基に、「最近のミス」や「提出したレポートに関して」など、なぜ自分が呼ばれたのかを推測し始めます(中間領域)。

3.
さらに、その中で「もしかして、前回のミーティングでの提案に不備があったのではないか?」という疑念が浮かび上がります。この推測が、あなたの心に不安や緊張をもたらし、「上司は私に怒っているのではないか」という懸念が頭をよぎります(中間領域)。

4.
この不安や緊張は、心拍数の上昇や手のひらの汗、また胃の緊縮といった身体的な反応として現れるようになります(内部領域)。

5.
そして、その身体の緊張を背負ったまま、何とか冷静を保ちつつ、少し首をひっこめるような姿勢で、上司のデスクに向かって歩き始めます(内部領域)。

6.
あなたは、上司の前に行き、その表情を観察します。(外部領域)

7.
そして、「どうやら怒っているわけではないらしい」と解釈します。(中間領域)

8.
あなたは、緊張から開放され、身体を少し緩めます。(内部領域)


このように見ていくと、「自分の名前を呼ばれて、上司の前に行く」というひとことで説明できる「手順」にも、実際には、半ば無意識な複数の「気づき」や「選択」が含まれていることが分かります。

無意識化された一連の「手順」であっても、このようにして複数の「気づき」と「選択」に再分解すると、新しい気づきや選択のきっかけにできます。


「手順」は、無意識に、一瞬で、または、時間をかけていても、思考が麻痺した状態でなされるものです。
ゲシュタルト療法では、時間をかけ、そこで起きていることを丁寧に再体験しつつ、定着してしまっていたパターンを破壊していきます。
  • 外部領域、内部領域、中間領域での、「気づく力」を高めるための簡単なエクササイズをご紹介します。

    この記事から少し意識をそらして、周囲を見渡してみてください。

    そのとき、何に気づくでしょうか。たとえば、それは外部領域での気づきです。
    そのままそれを見ているときに、どんな思考が湧いてくるでしょうか。その思考に気づくこと、それは中間領域での気づきです。

    しばらくそのまま、できれば1分ほど、外部領域、内部領域、中間領域で起きる気づきに意識を向けてみてください。
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「手順」を「気づき」と「選択」に分解してパターンを破壊していく具体的な手順については、以下の講座で詳しく扱っています。

[心理学パート]イヤでも身体から力が抜けて仕事が楽になるワークショップ
https://forum.pc5bai.com/lesson/course/46/


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